約束された結婚ーー鬼の花嫁は初恋相手と運命の相手に求婚される

「あの柊ってカウンセラーに変な事されてないだろうな?」

 ぶっきらぼうな言葉が寄越される。

「あいつ、カウンセリングとかこつけて女子を連れ込んでるってよ。サッカー部の先輩達が言ってたぞ」

「先生が? そんな風には見えなかったけど?」

 女性の扱いに慣れてそうな先生がわざわざ生徒へ手を出すだろうか。わたし相手だから下心を抱かなかったと言われればそうかもしれないが。

「本当か嘘かはどうでもいい、とにかく関わるな。お前、うっかり秘密を喋っちまうかもしれないだろ」

「うっかりって。鬼の話をしたのは涼くんじゃないの! 先生に変な生徒と思われたらどうするのよ!」

 鬼なんて見る精神状態にはケアが必要、そう判断されればカウンセリングは続行となり、吸血行為がバレる可能性も増す。
 涼くんの危惧する部分に異論はないものの、うっかりを擦り付けられ言い返した。

「話、聞いてたのか? 別に変な生徒でいいだろうが! 高橋からカウンセリング受けに行ったって聞いて迎えに来てやったのに、なんでそう可愛くねぇ態度をとるかな」

「高橋さん?」

 その名前にますますカチンとしてしまい、繋いでいた手を払う。

「どうせ2人でわたしの悪口言ってたんでしょ? イケメンカウンセラーをチェックしに行ったとか?」

「被害妄想、強すぎない? 高橋はお前がカウンセラーにセクハラされないか心配して俺に教えたんだぞ?」

 これは、まんまと高橋さんの根回しにはまってしまった。