ここまではっきり意志表明されたら、高橋さんが涼くんに好意を抱いているのは明らか。真っ直ぐ見据え、まさに恋する眼差しでわたしを貫こうとする。

 彼女はわたしと涼くんの関係を確かめたいだけ。強盗に押し入られた事情を話しても受け付けてくれなさそう。それに付き合っていないと答えれば答えたで、涼くんをどう想っているのか質問されるに違いない。

 わたしは黙った。

 こういう詰め寄りをされる度、涼くんがどんな相手なのか上手く言い表せないのを痛感する。
 涼くんの血がないと生活がままならない現実がベースにあり、好きとか嫌いじゃ割り切れない。わたしは涼くんが居ないと生きていけないんだ。

 沈黙の構えを取り続けるうち、クラスメートが出ていく。

「……あーあ、だんまり、か。夏目君にも付き合っているか聞いたけど同じ反応されたわ」

 高橋さんも諦め肩の力を抜き、そのすきに鞄を抱いた。

「わたし、保健室行かないといけないから」

「ねぇ、待って!」

「……何?」

 腕を掴まれ、高橋さんの熱意でひりひりする。焦がされるような痛みについ睨んでしまい、高橋さんも睨み返す。

「浅見さんが彼女でも諦めない。マネージャーになって、夏目君にあたしをもっと知って貰う。浅見さんより素敵だって思って貰う」