約束された結婚ーー鬼の花嫁は初恋相手と運命の相手に求婚される

「おー、聞いてるぞ浅見! 大変だったな、身体は平気か?」

 先生もわたしを認識し、大股で寄ってきた。

「俺、先に行く」

 話を振られる前に涼くんは先生の脇を通り過ぎる。あの大声でわたしの送迎を引き受けた件を褒められたくないんだろう。

「夏目とはご近所なんだって? 頼りがいがある幼馴染みがいて良かったな」

「……はい。休んでいた分のノートも貸して貰いました。先生が夏目くんにお願いしてくれたんですよね? ありがとうございます」

「ノート? うーん、頼んだっけ。まぁ、浅見の事は夏目に任せておけば安心だ!」

 みんなは朝から教師に呼び止められるわたしを横目に校舎へ入っていく。
 先生まで涼くんを頼るようにと言い、複雑な気持ちとなり俯く。

「親御さんからあまり大事にしたくないって話だが、無理はするな。あんな目に遭えば休んだっていいんだ」

 体育会系、いわゆるお兄さん的な先生はカジュアルな雰囲気で接してくる。声だけでなく身振り手振りも大きい。

「はい、それじゃあーー」

「あ、そうだ!」

 予令の気配がするので話を切り上げたいところ。しかし、まだ引き止められる。

「放課後、保健室へ行ってみろ。今日はカウンセラーが来る日で、浅見を診てもらうよう手配してある。例の件を話してみたらどうだ?」