約束された結婚ーー鬼の花嫁は初恋相手と運命の相手に求婚される

 おばさんがその場でぴょんぴょん跳ね、歓迎してくれる。

「おばさん、浅見さんの家の桜子ちゃんをみていて、娘が欲しいなぁと思っていたの。そうしたら同じ名前のあなたが来てくれるなんて!ーーねぇ浅見さん、うちの桜子ちゃんよ」

 喜びつつ、わたしを浅見家に紹介した。

「四鬼さんというと、あの四鬼グループの?」

「ご令嬢じゃない!」

 お父さんとお母さんにやはり初見の対応をされてしまう。なるべく悲しみを顔に出さないで頷いた。すると浅見桜子さんがぐいっと会話に乗り出す。

「涼君の彼女、実在したんだ? 話には聞いていたけどお姫様みたい」

 浅見桜子さんはわたしと服の趣向が違い、ボーイッシュな印象を受ける。話し方もはきはきして、明るい性格そうだ。

「お、お姫様って」

 距離感をつめ覗き込まれると同性相手であっても緊張してしまう。身だしなみ程度にリップは塗ってきたものの、キスで落とされている可能性がある。何処かおかしい箇所はないだろうか。鏡を見て整え直したい。

「あぁ、確かにお姫様みたいだな。桜子という名前にはお姫様という意味があるのかもしれないな。うちの桜子もお姫様みたく愛らしいが、四鬼さんの桜子さんも可愛らしい」

 突如、お父さんが納得する。

「ごめん、うちの父親、親バカなんだ」

 浅見桜子さんが補足するも、お父さんの1面を否定しなかった。愛情表現として受け入れているみたいだ。

「素敵なお父様ね」

 思ったまま伝えると笑顔になる。浅見桜子さんの屈託のない笑顔はわたしを癒やす効果があり、身構えた緊張を和らげる。

「なんだか不思議ね。名前の影響か、桜子さんに親近感がわくわ」

 お母さんは頬に手を添え、傾げる。

「そうなのよ! 私も初めて桜子ちゃんに会った時、不思議な気持ちになったの!」

 涼くんのおばさんも同意した。