■
ーー沖縄から帰ってきて数週間後。わたしは鬼月学園のグラウンドに来ていた。
今日は延期となっていた葉月高校との練習試合が行われている。
「やぁ、桜子ちゃん」
四鬼さんがわたしを見付け、手を上げた。生徒会長である彼は両校の交友に一役買い、観戦にきた生徒達の案内をする。相変わらず白い制服が似合っていて笑顔も眩しい。
「こんにちは、四鬼さん」
わたしは頭を下げる。その際、片膝を引き腰を曲げるのも忘れない。鬼月学園では礼儀作法が厳しく、上級生にはこうして挨拶するのだ。
「まぁまぁ、そんな畏まらなくてもいいよ。桜子ちゃんのペースで学園生活に慣れていこう」
「でも……」
「それに僕等は畏まる間柄じゃないでしょ? 四鬼桜子さん」
にっこり微笑む四鬼さん。そう、わたしは彼の妹として鬼月学園に通う運びとなる。
「四鬼さんではなく千秋と呼んでくれてもいいんだよ? もしくはお兄様でもいいな。こんなに可愛い妹ができるなんて僕は嬉しいよ」
「いや、それはーー」
ずいっと顔を近づけられ、仰け反った。
と、何かにぶつかる。
「兄妹の仲が良いのは何よりですが、距離感は必要ですよ?」
白衣を着た柊先生が背後で呆れた声を出す。
「あまり妹を構いすぎると私みたくなってしまいますからね。今朝は電話ではなくメールで体調を聞いたのですが、ほら」
ポケットから携帯電話を取り出し、メールのやりとりを披露。先生が一方的にメッセージを送っており、美雪さんは基本既読スルーしていた。
何10回に1回程度、単語もしくはスタンプを返していても、会話が成り立っているようには見えない。
ーー沖縄から帰ってきて数週間後。わたしは鬼月学園のグラウンドに来ていた。
今日は延期となっていた葉月高校との練習試合が行われている。
「やぁ、桜子ちゃん」
四鬼さんがわたしを見付け、手を上げた。生徒会長である彼は両校の交友に一役買い、観戦にきた生徒達の案内をする。相変わらず白い制服が似合っていて笑顔も眩しい。
「こんにちは、四鬼さん」
わたしは頭を下げる。その際、片膝を引き腰を曲げるのも忘れない。鬼月学園では礼儀作法が厳しく、上級生にはこうして挨拶するのだ。
「まぁまぁ、そんな畏まらなくてもいいよ。桜子ちゃんのペースで学園生活に慣れていこう」
「でも……」
「それに僕等は畏まる間柄じゃないでしょ? 四鬼桜子さん」
にっこり微笑む四鬼さん。そう、わたしは彼の妹として鬼月学園に通う運びとなる。
「四鬼さんではなく千秋と呼んでくれてもいいんだよ? もしくはお兄様でもいいな。こんなに可愛い妹ができるなんて僕は嬉しいよ」
「いや、それはーー」
ずいっと顔を近づけられ、仰け反った。
と、何かにぶつかる。
「兄妹の仲が良いのは何よりですが、距離感は必要ですよ?」
白衣を着た柊先生が背後で呆れた声を出す。
「あまり妹を構いすぎると私みたくなってしまいますからね。今朝は電話ではなくメールで体調を聞いたのですが、ほら」
ポケットから携帯電話を取り出し、メールのやりとりを披露。先生が一方的にメッセージを送っており、美雪さんは基本既読スルーしていた。
何10回に1回程度、単語もしくはスタンプを返していても、会話が成り立っているようには見えない。

