「当主に?」
「鬼姫は一族の姫。当主だって使いっ走りにしても許されるわ」
「いや、そういうのは利用するみたいで」
「ふーん、いい子ぶるんだ。千秋とやっていこうとする鬼姫の覚悟ってその程度?」
睨まれ、ぐっと唇を噛む。いい子ぶる訳じゃないが、覚悟の足らなさを指摘されれば言い返せない。
「アタシはあなたが羨ましい。鬼というだけで千秋の側に居られるんだもの。アタシがどんなに努力しても千秋は振り向いてくれなかった。今だって千秋を誰より想ってる自信があるし、彼を幸せにしたい気持ちは強いわ!」
一方、美雪さんもわたしを前に泣かまいと歯を食いしばった。
「でも千秋があなたを幸せにしたい、あなたに幸せにして貰いたいって願う以上、アタシには何もしてあげられないの」
「美雪さん……」
「よして頂戴、同情ならごめんだわ! アナタだけには可哀想だと言われたくない!」
美雪さんは気高かった。決して背を丸めたりせず、人差し指を立てて言い放つ。
「当主に沖縄に連れて行って貰いなさい。ケジメとやらをきちんと付けたら千秋を笑顔にさせて。千秋を大事にしてあげて。そうじゃなきゃ、あなたを恨む。一生かけて恨んでやるんだから!」
わたしは嫌われており、もっと責められ、なじられたりすると思い込んでいた。しかし美雪さんはさっそく当主と連絡をつけてくれ、背中を押す。
「当主が沖縄にプライベートジェットを飛ばしてくれるそうよ」
「プライベートジェット!? あ、ありがとうございます」
「お礼なんていいの、これは【アタシの為】にやってるんだし」
四鬼さんを想って行動する美雪さんに、今すぐとはいかなくとも、時間をかけてでも認められたいと感じた。欲を言うなら友人になれたらいい。
これから新しい人間関係を築いていこうと前向きな気持ちが芽生える。
そんな安直な考えを巡らせる中、まさか美雪さんの意識が薬棚へ向けられていようとはーー。
浅はかなわたしは気付けなかったんだ。
「鬼姫は一族の姫。当主だって使いっ走りにしても許されるわ」
「いや、そういうのは利用するみたいで」
「ふーん、いい子ぶるんだ。千秋とやっていこうとする鬼姫の覚悟ってその程度?」
睨まれ、ぐっと唇を噛む。いい子ぶる訳じゃないが、覚悟の足らなさを指摘されれば言い返せない。
「アタシはあなたが羨ましい。鬼というだけで千秋の側に居られるんだもの。アタシがどんなに努力しても千秋は振り向いてくれなかった。今だって千秋を誰より想ってる自信があるし、彼を幸せにしたい気持ちは強いわ!」
一方、美雪さんもわたしを前に泣かまいと歯を食いしばった。
「でも千秋があなたを幸せにしたい、あなたに幸せにして貰いたいって願う以上、アタシには何もしてあげられないの」
「美雪さん……」
「よして頂戴、同情ならごめんだわ! アナタだけには可哀想だと言われたくない!」
美雪さんは気高かった。決して背を丸めたりせず、人差し指を立てて言い放つ。
「当主に沖縄に連れて行って貰いなさい。ケジメとやらをきちんと付けたら千秋を笑顔にさせて。千秋を大事にしてあげて。そうじゃなきゃ、あなたを恨む。一生かけて恨んでやるんだから!」
わたしは嫌われており、もっと責められ、なじられたりすると思い込んでいた。しかし美雪さんはさっそく当主と連絡をつけてくれ、背中を押す。
「当主が沖縄にプライベートジェットを飛ばしてくれるそうよ」
「プライベートジェット!? あ、ありがとうございます」
「お礼なんていいの、これは【アタシの為】にやってるんだし」
四鬼さんを想って行動する美雪さんに、今すぐとはいかなくとも、時間をかけてでも認められたいと感じた。欲を言うなら友人になれたらいい。
これから新しい人間関係を築いていこうと前向きな気持ちが芽生える。
そんな安直な考えを巡らせる中、まさか美雪さんの意識が薬棚へ向けられていようとはーー。
浅はかなわたしは気付けなかったんだ。

