約束された結婚ーー鬼の花嫁は初恋相手と運命の相手に求婚される

「涼くんが事故に遭ったって本当ですか? 教えて下さい!」

「夏目の事は先生達がどうにかするって。なぁ、夏目より俺達と仲良くしようぜ?」

「しません!」

 言い切ってムキになるわたしに先輩はつまらなそうな態度を取る。

「なんで、みんな夏目がいいんだろうな。サッカーだってモテたいからやってるだけだろ、あいつ」

「それは誤解です! 涼くんは公園で自主練習したり、家では海外の試合を観て勉強してます。サッカー関連雑誌もたくさん読んでます! ちゃんと努力してます! そういう言い方は止めて下さい!」

 すると、もう1人の先輩が言う。

「確かに夏目は良い選手かもしれない。けど、ここ数日は明らかに練習に身が入ってなかった。気もそぞろって感じ。宿泊訓練で溺れたっていうのも有り得そう」

「有り得そうって言うより、あったんだってば。俺、聞いたもん。疑うなら職員室へ行ってみればーー」

 みなまで語らせず、わたしは踵を返していた。自分で確認した方が早そう。

 保健室を飛び出すと前方から柊先生が歩いてきて、誰かの介助している。その女性を認識した瞬間、唇が震えた。

 涼くんのおばさんだったのだ。