約束された結婚ーー鬼の花嫁は初恋相手と運命の相手に求婚される

 話題に興味を引かれ、カーテン越しに様子を伺う。

「新入部員って言えば夏目涼、あいつ凄くない? 1年なのに次の試合にでるみたいだぞ」

 やはり涼くんは注目されており、先輩等に早くも認識されている。涼くんが認めらるのは本人の頑張りがあってこそだが、わたしまで誇らしくなった。

「あ、その夏目だけどやばい」

「やばいって?」

「実は職員室を通り掛かった時、聞いちゃったんだけど1年って宿泊訓練中だろ? 事故があったみたいだぜ! で、なんと夏目が溺れたらしい」

「事故? うわぁ、マジかよ。うちの夏目が?」

「この休憩もコーチが職員室に呼ばれたかだろ?」

 涼くんが事故に遭ったとは? 衝撃的な会話運びにわたしは勢いよく窓を開けた。

「な、な、なに? ってか、誰?」

「涼くんが溺れたって本当なんですか?」

 面識のない後輩に詰め寄られて顔を見合わせ、答えないと乗り出してきそうな雰囲気に引いている。

「君、1年生? 夏目の知り合い?」

 わたしの三角タイの色で判断、涼くんとの呼び名から関係性を導く。

「知り合いというかーー」

「あぁ、ファン? 夏目は人気があるかなぁ。君もその1人なんでしょ? 夏目が心配? 健気で可愛いね。それより宿泊訓練には参加してないの?」

「あはは、お前、ナンパかよ!」

 2人は涼くんの件を深刻に受け止めておらず、ニヤニヤしながら立ち上がると窓辺に寄り掛かる。