約束された結婚ーー鬼の花嫁は初恋相手と運命の相手に求婚される



「……ここは?」

 目を覚ますと傍らでは四鬼さんがうたた寝していた。

「桜子ちゃん? あぁ、起きたんだね!」

 四鬼さんはわたしの呟きに飛び起き、手を握ってくる。針が刺さった自分の腕をみ、ここが病室であるのを理解した。

「わたし、どうしたんでしょうか?」

「あれから昏睡状態になってしまって、病院へ運び込まれたんだ」

「四鬼さんがずっと付き添ってくれた?」

「実はご両親に頼み込んでさ、側に居させて貰った。ちょっと柊にーー」

 携帯電話を取り出す四鬼さんを止める。

「桜子ちゃん?」

 身体をゆっくり起こす。纏わりついて離れなかった倦怠感が失せ、どこも傷まない。

「涼くんの血を使ったんですね?」

 そして、怒りが込み上げた。

「そ、それは」

「どうしてですか? わたし何度も嫌だって言ったじゃないかですか!」

「彼の力を借りなければ君を助けられなかったんだ」

「酷い、酷いです! わたしはどうなっても良いのに!」

「馬鹿を言うな! どうなってもいいはずないだろ!」

 声を荒げ抗議すると、怒鳴り返されてしまう。四鬼さんの怒鳴り声を聞き付け、扉が慌てて開かれる。

「千秋様、落ち着いて。起き抜けで混乱する浅見さんを興奮させてはいけませんよ。あと時間も考慮して下さい」

 白衣姿の柊先生がやってきて、深夜を刻む腕時計を翳した。先生は四鬼さんの肩を撫で、わたしに人差し指を立てる。