約束された結婚ーー鬼の花嫁は初恋相手と運命の相手に求婚される

「ーーっ」

 ついに苦しくて涙が出てきた。ここ数日、涼くんから連絡はない。当然なんだけれど心細いというか、寂しいというか。

「泣かないで。柊が言う通り、何か食べてみようよ? 食べられそうなものあるかな?」

 布団越しに背中を擦られる。鼻がつまり啜ってしまい、泣いているのが隠せない。

「四鬼さんが作ってくれる?」

「え、あ、あぁ、僕はこう見えて料理が得意かもしれない」

「かもしれないって何ですか。千秋様、料理などした試しがないでしょう? 私がお作りしますよ。お粥で宜しいですか?」

 お粥、か。だったらーー。

「たまごが入ってるのがいいな、昔よく涼くんが作ってくれて……」

 美味しかったなぁと、ボーッとする頭に浮かべた。優しい味がしたのを覚えている。もう食べることがないとしても、あの味は忘れたくないーー忘れたくないな。

「ごめんな、さい。疲れてしまって、寝てもいいですか?」

 倦怠感に押し潰されて目をつむり、夢の世界へ誘われ落ちていく。