「涼くんの、血は、飲みません」

 わたしは必死に会話にまじり、固い意思を伝えた。この苦しみがどんだけ長引こうと涼くんの血は絶対に飲まない。

「気持ちは分かるけど意地を張ってる場合じゃないよ。君は大分弱ってる。このままだとーー」

「嫌です。絶対に嫌ですから」

「明日から夏目君は宿泊訓練に参加するはず。今日を逃せば最低でも2日間は治療が出来ませんが?」

「だとしても嫌です」

 吸血を治療と言葉を置き換え、わたしが生きるため、必要な処置とフォローする。しかし気持ちは変わらなかった。
 案じてくれる2人に背を向け、布団をかぶる。

「血を飲まないなら、せめて食事は取らないと。何か召し上がりますか?」

「柊! それじゃあ解決になってない。桜子ちゃんが辛いままじゃないか!」

「嫌がっているのに無理やりするのは逆効果です。一旦食事をして様子を見ましょう」

 代案を出されたが食欲は全く無い。お母さんも色々用意してくれたけれど、ひと口も出来なかった。
 頭が痛い、吐きそうだ。寒気がする。