約束された結婚ーー鬼の花嫁は初恋相手と運命の相手に求婚される

 わたしは涼くんが大事。涼くんが弱くなったって言うなら、わたしが守りたい。そして、なにより絶対に鬼にしたくない。

「わたしね、四鬼さんと正式にお付き合いするんだ。涼くんは人の彼女にキスしたい?」

「ーーは? 付き合う? お前こそ、四鬼千秋に脅されてない? おじさんの会社での立場が悪くなるとか?」

「わたしは脅されてない。段々と四鬼さんを好きになりたいと思ってるし、四鬼さんにも好きになって欲しい」

 これは本心。どうせ嘘をついても見破られてしまうだろう。

「俺の告白の答えがこれって事?」

「返事は要らないと言われたけど、はっきりしといた方がいいよね。わたしは涼くんの側には居られない」

 わたしが側にいたら涼くんの血を求めてしまう。涼くんが鬼となればサッカー選手の夢を諦めなきゃならないんだ。

 まだ間に合う。涼くんには人として生活する道がある。

「これ、探してた薬。教壇の下に落ちてた」

 固まる涼くんの手を取り、包みを乗せた。わたしは泣かない、視線をそらさないで振る舞う。

「高橋さんとは別れて。正直、わたしの為に付き合うとか困るんだ」

「今朝、俺が高橋と付き合ったと知って泣いたんじゃないのかよ?」

「自意識過剰だよ、涼くん」

「嘘だ! お前はそんな奴じゃないだろ?」

「噓じゃない、そういう奴なんだってば」

 お願い、こんな物言いに呆れ果て、早く教室を出ていってよ。