「それでお2人は付き合うことになさったんですねーー実にめでたい、お赤飯炊きましょう」

 柊先生は頭突された箇所を擦りつつ、真顔で言った。

 四鬼さんとわたしは授業に戻らないで先生の帰りを待っていた。先生もそれなりの報復は予期していたとはいえ、ドアを開けるなり頭突されるなんて驚いただろう。
 しかし、転んでもタダでは起きないらしい。お赤飯の嫌味で応酬する。

「次に桜子ちゃんに手を出したら、こんなんじゃ許さないからな」

「鬼姫は共同資産では?」

「僕は独占力が強くてね。柊先生が彼女と同じ空気を吸っているだけでも気分が悪くなる。もう息を吸うな」

「そうですか、そうですか、私も同じです、気が合いますね。ところで浅見さんはお赤飯好きですか?」

 四鬼さんと柊先生は喧嘩しているようで喧嘩になっていない。四鬼家などに虐げられたと言っていた先生だが、四鬼さんに対しては歳の離れた弟みたく接する。

 お赤飯が好きか答えないでいたら、先生は赤くなった額を下げてきた。

「昨日の車での事、キスマークの件も申し訳ありませんでした」

 あまりにも神妙な顔付きで謝罪された為、つい応じてしまう。

「い、いえ、顔を上げて下さい」

「では遠慮なく」

 すると、あっさり反省の態度をやめた。そればかりか反撃を開始。