約束された結婚ーー鬼の花嫁は初恋相手と運命の相手に求婚される

 わたしに警護という名目で監視がつけられていると把握している。
 玄関を開ければ四鬼さんが立っており、爽やかな笑みを浮かべていた。

「おはよう」

「おはようございます。四鬼さん自ら監視ですか?」

「はは、お姫様はご機嫌が悪そうだ」

「色々して貰ってるくせに可愛げのない態度をしてしまい、すいません。今ちょっと余裕がなくて」

 この答えすら可愛くないが、四鬼さんは気にもとめない。

「怒りも不満も全部僕にぶつければいい。僕は君の味方だ」

 さぁ行こうと促す。そこへお母さんも出てきて、四鬼さんへ頭を何度も下げた。

「あぁ、四鬼さんに娘の送迎をして頂くなんて主人にどう話せばいいやら。お手数おかけして申し訳ありません」

 四鬼さんはお父さんの勤める会社の創業者一族。わたしを送るという申し出をむげに出来ないし、かと言って快諾もしがたい。

「頭を上げて下さい。これは僕が好きでしている行動で四鬼家は関係ありません」

「ですがーー」

 食い下がるお母さんに四鬼さんが笑みを一段階深めた。
 甘い香りのする笑顔を向けられ、お母さんがボーッと見惚れてしまう。

「では、行ってきます。お義母さん」

 これまた柔らかく優しい声音で告げる。そのままわたしを外へ連れ出した。