約束された結婚ーー鬼の花嫁は初恋相手と運命の相手に求婚される

「噛む? それはいけません、可愛いあなたに痛い思いをさせてしまう。どうせなら気持ち良い方が良いでしょうに」

「気持ち良いって、そんな……」

「恥ずかしがらなくていいですよ。そんなあなたも悪くありませんが」

 とろんと蕩けた瞳にいつもの理性が伺えない。先生の唇が袖のホックを外してきて、貧弱な腕が晒された。

「白くて華奢で傷1つもない綺麗な肌。簡単に折れそうです。ほら」

 ぐっと指が食い込み、骨が軋む。

「痛い、です。離して……」

「ちょっかい出したつもりが本気になってしまいました。鬼姫には惑わされまいとたかを括ってましたが、やはりあなたは魅力的だ」

「痛いです! 先生、離して下さい!」

「泣いてもいいですよ? そういうのも悪くない」

 このままでは本当に折れてしまうかもしれない。凄い力だ。先生が鬼の性に囚われているのは明らかで力加減を忘れている。

「やめて! 触らないで!」 

 そしてスカートの上から腿を撫でられそうになり、頬を叩いてしまった。これが先生を更に焚き付ける。

「こういう場面で抗うと悪い男はぞくぞくするんですよ?」

「ひ、柊先生」

「先生呼びも煽るだけ。いえ、あなたは存在するだけで私達を煽る」

 わたしの髪を1筋、手に取ると口元へ寄せる。
「キレイな黒髪」

 次は顎をくいっと上げられた。

「整った顔立ち。それからーー」