約束された結婚ーー鬼の花嫁は初恋相手と運命の相手に求婚される

「あぁ、このお茶、とても不味い。久々の再会を祝してにしては酷い味だわ」

 ーーそれは私の感想だった。わたしは私の声を意識の奥で聞く。また身体を取って代わられてしまったらしい。昨日と違うのは頭が働かず、私へ干渉しづらい点だ。 

 人格交代にいち早く気付いた四鬼さんの表情が固まる。私は構わずにっこり微笑み、それはそれは甘く囁く。

「私を誘き寄せたくてこんな細工をしたのですか? いけない人ですね?」

「こ、これは当主が。僕は知らない!」

「当主?」

 3人の並びをみ、私は中央の人物に瞬きをする。四鬼さんと顔立ちが似ていようとさして興味を引かれないようで、私は
傾げた。

「あら、四鬼家の男性が2人居るのねーーけれど貴方で間違いはない。私はあなたがいい」

 四鬼さんへ寄り添おうと姿勢を傾けるが避けられてしまう。
 わたしの口振りや行動ががらりと変わった事で当主達は勘づく。椅子を蹴り揃って起立し、今更の自己紹介をしてきた。

「鬼姫様、四鬼家当主の千紘でございます」

「分家の春野です」

「同じく分家の秋里」

 春野、秋里とは四鬼に並ぶ名家でわたしでも聞いた事がある。その代表者が深々頭を下げ、身を縮こませたのだ。

「春野、秋里、そして柊。私を守る分家がもうひとつあったと記憶しているけど? どうしたの?」

 私は距離を取られた四鬼さんに肩を竦め、つまらなそうに尋ねる。

「申し訳ありません。途絶えております」

「途絶えた?」

「我々とは道を分かち、人との共存を選びました。一応子孫にあたる者共へ監視をつけ、力の発現は現状見受けられません。かなり血が薄まっている為かと考えられます」

「その監視対象が夏目涼?」