指輪を愛しそうに見詰め、それからわたしへ微笑む。
「行こうか」
手を繋ぐと胸が高鳴る。その一方で締め付けられ、ドキドキと切なさが交互に押し寄せて感情が揺れる。
ドアは内側より開けられた。
「浅見桜子さんをお連れしました」
四鬼さんが入室する前に会釈をしたので、わたしも倣う。
赤色を基調とした室内では男性が3名ほど着席していて、給仕服を纏う女性に正面の椅子を勧められた。
「柊は?」
この人は四鬼さんのお父さんとは病院で会った事がある。当主と呼ばれていたはずだ。
「それが……美雪が来ていたようでして」
「美雪? あの子にはお前に関わらないよう伝えたはずだが?」
「申し訳ございません。改めて通達します」
「言って聞かぬなら排除しろ。いいな?」
「ーー承知しました」
当主は厳しい要求を突き付け、一般の親子とは違う関係を伺わせる。美雪さんに対しての配慮にもかけ、美雪さんの恋心を蔑ろにされるのはわたしまで居心地が悪い。
「あぁ、浅見さん。今日は急に悪かったね?」
しかし一転、わたしには穏やかな笑みを浮かべる。
「喉は乾いていないかい? 紅茶を淹れさせよう」
「い、いえ、わたしは大丈夫です」
「遠慮しなくてもいい。紅茶は嫌いか?」
「そういう訳では……」
「ならば用意しよう」
彼女にお茶を、指示を出す声は低い。当主はわたしと話す時だけ柔らかい声音で違和感がある。しかもティーカップはわたしの分しか無かった。
「行こうか」
手を繋ぐと胸が高鳴る。その一方で締め付けられ、ドキドキと切なさが交互に押し寄せて感情が揺れる。
ドアは内側より開けられた。
「浅見桜子さんをお連れしました」
四鬼さんが入室する前に会釈をしたので、わたしも倣う。
赤色を基調とした室内では男性が3名ほど着席していて、給仕服を纏う女性に正面の椅子を勧められた。
「柊は?」
この人は四鬼さんのお父さんとは病院で会った事がある。当主と呼ばれていたはずだ。
「それが……美雪が来ていたようでして」
「美雪? あの子にはお前に関わらないよう伝えたはずだが?」
「申し訳ございません。改めて通達します」
「言って聞かぬなら排除しろ。いいな?」
「ーー承知しました」
当主は厳しい要求を突き付け、一般の親子とは違う関係を伺わせる。美雪さんに対しての配慮にもかけ、美雪さんの恋心を蔑ろにされるのはわたしまで居心地が悪い。
「あぁ、浅見さん。今日は急に悪かったね?」
しかし一転、わたしには穏やかな笑みを浮かべる。
「喉は乾いていないかい? 紅茶を淹れさせよう」
「い、いえ、わたしは大丈夫です」
「遠慮しなくてもいい。紅茶は嫌いか?」
「そういう訳では……」
「ならば用意しよう」
彼女にお茶を、指示を出す声は低い。当主はわたしと話す時だけ柔らかい声音で違和感がある。しかもティーカップはわたしの分しか無かった。

