約束された結婚ーー鬼の花嫁は初恋相手と運命の相手に求婚される

「ここは古い建物でね、今日みたいな一族の会談の他にはゲストを招いてパーティーをしたり、ドラマや映画の撮影場所として提供もしてる」

 四鬼さんの説明によれば屋敷は三階建て、地下にプールがあるそうだ。廊下に飾られる壺ひとつとっても磨かれ抜いており、歴史を感じさせつつ管理の行き届いた空間を演出する。

 わたしは辺りをきょろきょろ見回し、天井のシャンデリアに目を細めた。この屋敷とは別に居を構える四鬼さんとの生活基盤の差で目眩がしそうだ。

「勢いで来てしまったんですが、一族の大事な話し合いの場に参加してもいいんでしょうか?」

「むしろ桜子ちゃんが居なければ集まらない。君だって自分の体質について知りたいでしょう? その答えがここにある」

 わたし達は重厚なドアの前に立つ。

「薄々気付いているだろうけど、僕は君となら運命を受け入れられると信じてるよ」

「指輪……」

 共に歩もうと差し伸べられた手に指輪がはめられていた。
 この指輪、夢でみたものと似ているーーううん、同じだ。

「僕の家ではね、男が生まれると指輪がはまるか確かめるんだ。これは持ち主を選ぶ指輪で、生まれたばかりの僕にぴったりサイズが合ったみたい」