直球過ぎる。高橋さんの熱さがわたしまで伝わり、熱くなってきた。

 涼君がわたしを好きかどうか、実際どうなんだろう。迷惑しか掛けていないので考えないようにしており、わたしは出来るなら血の事を抜きにして昔みたいな仲に戻りたい。

「桜子が好きだ」

「!」

 血を必要とする者と交流すれば、涼くんの血を飲まない方法が分かるかもしれない。そうなればわたしも後ろめたさがなく、涼くんと向き合えるじゃないか。

「ーーって答えれば高橋から開放されるなら、喜んで好きだと言うけど?」

 あぁ、一瞬でも期待してした自分が惨めだった。首を横に振ると帽子が植木へ引っ掛かる。回収しようと手を伸ばせば小刻みに震えて、もういいや、後から取ろう。

 気配を消すのもバカバカしく、わたしは足音を隠さず家へ入った。
 高橋さんはともかく、涼くんは帰宅を察知したであろう。この時間に帰ってくる隣人がわたししかいないと把握しているはずだ。でも、どうだっていい。

 そのまま浴室へ直行。熱めのシャワーがメイクを溶かしていく。目を擦れば黒い涙が落ち、先ほどの涼くんの返事を繰り返す。

【高橋から開放されるなら、喜んで好きだと言うけど?】

 いっそ嫌いと言われた方がマシだったかもしれない。これでは好きも嫌いも判断するのすら面倒くさがられたみたいだ。あげく、いつものポーカーフェイスで伝えていた。