労うよう肩を擦られ、これまでの不自由を吐き出してもいいと言われているみたい。けれど唇を噛んで堪えた。

「君の苦しみはもう終わり。迎えに来たよ、待たせてしまってすまない」

「ーー迎えにきてくれた、んですか?」

「あぁ、そうだよ」

 血を飲んでいるのがバレた焦りより、迎えに来たという響きが勝る。四鬼さんにやっと見付けて貰えた、そんな受け取り方をする自分に戸惑う。

「四鬼さんってば、いきなり何を言うんですか? やだなぁ、わたしを吸血鬼みたいに言わないで下さい」

 四鬼さんから距離を取り、ここは深呼吸。依然と目の奥が熱いまま、鼓動も早くて息苦しい。

「もう! 変な冗談を言われたんでクレープを落としちゃいましたよ!」

 白々しい芝居になど付き合うつもりはないらしく、四鬼さんはしゃがもうとするわたしを認めなかった。らしくない力加減で引き上げた。

「僕は味方だってば。君のいちばんの理解者となれる。このままだと桜子ちゃんの為にならないし、夏目君にだって影響が出てしまうよ?
吸血鬼というのもあながち遠くない、血を吸われ続けた人間は血を飲まないと生きていけない者になるんだ」