約束された結婚ーー鬼の花嫁は初恋相手と運命の相手に求婚される

 クレープをナイフとフォークを使って食べる四鬼さんが想像される。わたしも頻繁に買い食いする訳じゃないけれど、はしたないと思われてしまっただろうか。

「クレープを買って近くの公園で食べれば、ベンチがあります」

 クレープをかじりながらウィンドウショッピングするのが定番なものの、四鬼さんには世間体があるだろうし強要できない。

「あの、無理ならーー」

「無理じゃない。僕の周りの子はあのパティシエの創ったスイーツを食べてみたいとか、このカフェへ行きたいとか具体的に言ってくれるから分かりやすいんだけど、桜子ちゃんは遠慮するから何をしてあげればいいんだろう? 駅前のクレープ屋で本当にいいの?」

 つまりわたしは他の女の子に比べ、要望をはっきり伝えないと言われている。

「ごめんなさい、急な話なので何がしたいか言われてもすぐには思いつきません」

「謝らないで! そういうつもりで言ったんじゃなくて、新鮮だなぁと。デートしなれない感じがして初々しい」

「……へぇ、四鬼さんって色んな子とデートしてるんですね!」

 次の不満はとどめておけなかった。