約束された結婚ーー鬼の花嫁は初恋相手と運命の相手に求婚される

 わたしはいつまでこの立ち入った話を聞かされるのか。
 これ以上聞きたくない、聞いてしまえば考えなきゃいけなくなる。頭まで布団を冠ろうとした時、シャッと目の前が開かれた。それと同時に四鬼さんも見開く。

「お聞きになりました? 千秋君は君にぞっこんでしたね!」

「柊! 桜子ちゃんが起きているのを分かった上で言ったの?」

「千秋【君】、2人きりの時は柊【先生】と呼ぶ約束でしたよね? あぁ、そうだ! 放課後にクレープを食べに行かれるのはどうでしょう? お互いの理解を深めるのに宜しいかと。浅見さんは甘い物好きですか?」

 柊先生は交互に話し掛け、自分の言いたい旨だけ伝えてきた。わたしをベッドから起こし、四鬼さんの手を取らせると廊下へ出されてしまった。

「2人とも次の授業は出てくださいね。私も着任したばかりで忙しいので、これで失礼しますよ」

 抗議は受け付けないとばかりドアが閉められ、四鬼さんと顔を見合わせる。

「あ、あの……」

 四鬼さんの頬は照れからなのか、少し赤い。

「具合は大丈夫なの?」

「え、あっ、はい。横になったら楽になりました」

「なら良かった。心配したんだ、本当だよ」

「……はい」

 かなり気まずい。不可抗力だが柊先生との会話を聞いてしまい、どうリアクションしてよいものか。
 繋がされた手を離せずモジモジしていると、四鬼さんがふふ、と笑う。