こんな私でもキュンしたい

「おはよう、佐倉さん」

「えっ、おはよう……」

 ……うそ!?
 
 なんと、話しかけられてしまった。
 こんないるかいないか分からないような存在の私に、話しかけてくれるなんて。しかも、学年一モテる田島くんのほうから。

 もちろん、話したことがないわけじゃない。
 でも、私からすれば……遠い存在の男の子。現在、物理的な距離は真後ろだけど。

 すると、後ろから背中をツーっと上から下へ指で、数字の1みたいなのを書いてきた田島くん。
 私は思わず、びっくりしてのけ反ってしまった。

 ん? 何……? 今の。いたずら? こんな私にいたずらなんかして、反応でも楽しんでるんだろうか。
 期待してるような反応なんて出来ないよ。そもそも、どんな反応を期待してるのかも分からないけど。

「ははっ、予想通りの反応だ……」

 そんな声が背後から聞こえてきた。しかも、結構耳元に近い距離で。

 私が振り返ると、机に肘をついてこっちを見ている田島くんと視線がぶつかった。