当時6歳だった界人が泣きながらポケットから出して私にくれたのは、小さな石だった。
ラッピングもされてない、(川原の)どこにでもあるような、ただの青白くて小さな石が一つだけ。
でも、その小さな石を界人から手から私の手に渡されたとき、とても温かかったことを今でも覚えている。
ポケットの中で暖められたせいではなく、界人の温もりを感じたのだ。

『・・・キレイ』
『きにいった?』
『うん。ありがとう、界人くん。これ、わたしのたからものにする・・・』

当時6歳だった私が言ったとおり、今でもその小さな石は、私の宝物兼お守りとして、自分の部屋に飾り置いている。
そしてそのとき私は、界人に銀警柄のハンカチを1枚あげたんだっけ。
涙を拭くためだったり、いじめっ子たちに受けた怪我の手当に使うため、界人にハンカチは必需品だったから・・・。

「そういえばあのときも界人は言ってたね」
「え?」
「“また会おう”・・じゃなかった、“また会いたい”・・・でもないよね」
「“またまーちゃんに会うために、ボクはまた戻ってくるからね。絶対に”」
「あ。そうだった」

だから昨日、界人が「また雅希に会いたかった」って言ってくれたとき、ビックリしたのと、ちょっと懐かしくて何かを思い出したような気がしたのか。