界人が引っ越すことになって、私たちは否応なく別れることが決まった、今から9年前のある日、界人は忍と私を川原に誘った。
川原は三人でよく遊んだ、思い出の場所の一つだ。
そこで私たちは他愛のないことをしゃべったり、いつものように石探しをして遊んでいるうち、家に帰る時間になった。
そのときはそれで終わり。いつものとおり、三人で楽しく過ごした。
いつもと違ったのは、川原で三人で過ごしたのは、それが最後になったことだ。

界人はその翌日に引っ越した。

『げんきでな、界人くん』
『うん。忍くんにはこれをあげる』
『“銀警”のぬりえブックじゃん!いいんか?』
『もちろんだよ。“銀警”は、ボクらがともだちになったきっかけをくれたからね』
『そうだったなぁ。ありがとな、界人くん。だいじにする。からの、これはおれから』
『あ・・・』
『かんがえることいっしょだな』
『う、ん・・。ありがと、う。しのぶくん、ありがと・・・。えっと、まーちゃんにはこれ、あげる』