「・・うん」
「いくらおまえが拒絶してもムダだから」
「界人・・・」
「ん?」
「ありがとう」
「今の俺は、まだ大人にもなり切れてない中途半端な男だし、頼りないとこいっぱいあるけどさ、それでもおまえだけにはもっと俺を信頼してほしい」
「うん」
「そして“できるおまえ自身”をもっと信じてもいいんじゃね?」

もっと自分を、ううん、「できる自分を」信じる、か・・・。
私は今まで「できない自分」を信じていたのかもしれないと、界人にそう言われて気づかされた。
やっぱり界人は強くて、いざというときじゃなくても頼りになる。

「・・・うん、それもがんばる」
「おまえ自身と俺と、いや頼雅さんとか忍とか、おまえには家族や友だちだっているんだ、おまえ一人で何とかしようとか、ガマンとかするな。ヘンなところに気を使い過ぎるなよ」
「うん。界人?」
「なに、雅希」

「愛してる」って言おうと思ったけど、父さんもここにいるから、私なりの笑顔を界人に向けるだけにしておいた。
それでも私の気持ちは、界人に真直ぐ伝わっていると信じて。