「・・・界人。わたし・・」
「うん」

・・・私を抱きしめてくれているこのガッシリした感触、この温もり、そしてこの安定した低い声。
確かに本物の、現実の界人だ。
安心した私は、目を閉じて界人に抱きついた。

「雅希、腹減ってんじゃね?」
「父さんから“一日寝てた”って聞いたら余計お腹空いた」
「そうだよなぁ。実は俺、白桃持って・・」と界人が言ってる途中で、私は「食べる」と即答した。

夢では界人が持ってきてくれた缶詰の白桃を、「私が」用意していた。
けど現実(つまり今)では、「父さんが」、生の白桃の皮をむいて、食べやすいサイズに切って持ってきてくれた。
私と界人と父さんの「三人分」なのも、夢と違う。
そしてダイニングには、忍や銀兄ちゃんがいない点も、夢と違っていた。でも・・。