「心配するな。みんな無事で元気にしてる」
「“みんな”って」
「綿貫雄馬くんと姉の弥生ちゃん、それから母親の礼子さん。三人は今、安全なところにいる」

父さんがそう言うのなら、三人とも無事で元気なんだと確信できる。
だけどそれは同時に、綿貫さんたちが何らかの事件に巻き込まれてるということを、警察に勤めている父さんが肯定したことをも意味する―――。

「・・・そう」
「悪いがこれ以上のことはおまえにも言えねえから聞くなよ。それから・・」
「分かってる。“クラスメイトを含むほかの人および関係者にも、とにかくこのことは誰にも話すな”でしょ」
「さすが俺の娘だな」と父さんは言って、私の髪をクシャッと撫でた。

「ねえ父さん」「なんだ」
「界人には話してもいい?」「ダメだ」
「じゃあこの紙、界人に見せてもいい?」
「見せるだけならいいぞ。俺も中身見せてもらって知ってるからな」