「魁くんは幸せ者だ」
「私、彼氏が“界人”だとは言ってません」
「けど分かるよ」
「え。そんなにバレバレ・・ですか」
「うーん、そうだねぇ、神谷さんとはつき合い長くて親しい友人にはすぐ分かるレベルだと思う。俺でも分かったくらいだから」
ということは、家族はもちろん(少なくとも忍にはバレてる)、クラスのみんなにもバレバレってこと・・・!?
でもいい。私は「素直になる」って決めたし、界人のことが好きっていうのは、全然やましいことじゃないし、悪いことでもないんだから。
それでも私は、閉じたあさり貝を開くように、「否定は・・・しません」とかろうじて言うのが精一杯だった。
素直になる私の道のりは、まだまだ遠い・・・。
軽く落ち込む私に、綿貫さんは「良かったね、神谷さん」と言ってくれた。
それで私はさっきの「何か」を思い出した。
「いずれにしても母さんには今日、連絡しておくね」
「はい」
「で、タンザナイトが入荷したら、神谷さんのところへ行くということで・・あっ、じゃあ宝石は、作り手の神谷さんより贈り主である魁くんに相応しいほうがいいのかな。そのあたりは母さんに任せるから、“彼氏のプレゼント用”っていうのも母さんに伝えていい?」
「あ・・はい、おねがいします。じゃあ」
「またね!」
手を振って私を見送る綿貫さんに一礼すると、私は自分の教室に急いで向かった。
もうすぐ朝のホームルームが始まるからでもあるけど、あの感じはそうだ。
なぜ私は綿貫さんと「正面からぶつかった」のか―――。
「私、彼氏が“界人”だとは言ってません」
「けど分かるよ」
「え。そんなにバレバレ・・ですか」
「うーん、そうだねぇ、神谷さんとはつき合い長くて親しい友人にはすぐ分かるレベルだと思う。俺でも分かったくらいだから」
ということは、家族はもちろん(少なくとも忍にはバレてる)、クラスのみんなにもバレバレってこと・・・!?
でもいい。私は「素直になる」って決めたし、界人のことが好きっていうのは、全然やましいことじゃないし、悪いことでもないんだから。
それでも私は、閉じたあさり貝を開くように、「否定は・・・しません」とかろうじて言うのが精一杯だった。
素直になる私の道のりは、まだまだ遠い・・・。
軽く落ち込む私に、綿貫さんは「良かったね、神谷さん」と言ってくれた。
それで私はさっきの「何か」を思い出した。
「いずれにしても母さんには今日、連絡しておくね」
「はい」
「で、タンザナイトが入荷したら、神谷さんのところへ行くということで・・あっ、じゃあ宝石は、作り手の神谷さんより贈り主である魁くんに相応しいほうがいいのかな。そのあたりは母さんに任せるから、“彼氏のプレゼント用”っていうのも母さんに伝えていい?」
「あ・・はい、おねがいします。じゃあ」
「またね!」
手を振って私を見送る綿貫さんに一礼すると、私は自分の教室に急いで向かった。
もうすぐ朝のホームルームが始まるからでもあるけど、あの感じはそうだ。
なぜ私は綿貫さんと「正面からぶつかった」のか―――。


