「そっか」
「ねえ銀兄ちゃん」
「ん?」
「なんで銀兄ちゃんは、ほかのきょうだいみたいに“つまからない”の。銀兄ちゃんも十分カッコいいのに。実は私がいないときにいつも“つかまってる”の」
「俺は誰も寄りつかないように“結界”張ってるからな。おまえや誰かと一緒でも、そうじゃなくても、大体いつもこんな感じだよ」
「ホント!?」
「ウソ」「ちょっと」
「でも“俺は目的地までいつもスムーズに行ける“って”意図”はしている」
「意図?」と聞いた私に、銀兄ちゃんは頷いて応えた。

「あとは認識。人は自分が見たいと思うものだけ見える。そして人は、“自分がこうだ”と思ったことが“自分の現実”になる。だから一つの物事に対して、人の数だけ考えや意見があるってことだ」
「ふーん」
「だからまあ、“結界”は半分くらいホントだと言えるかもな」
「つまり、“結界”イコール“意図”ってこと?」
「近い表現って意味でなら“イエス”だ」
「意図と認識か・・なんか難しいね」
「そんなことないよ。分かればいたって単純だ」
「分かればでしょ」
「まあそうだが。おまえもっていうか、人間だったらみんなやってることだ」
「なんか銀兄ちゃんが言うと、自分がエイリアンになったような気がする」
「そう複雑に考えるな。じゃあ俺は自分の教室に行くよ。人が多くなる前に“用”を済ませるんだぞ」
「うん。ありがと銀兄ちゃん」

そして銀兄ちゃんが階段を2,3段上ったとき、後ろを振り向いて私を呼んだ。