「雅希っ」
「なに、界人」
「ピザ食べないのか?」
「後でいい」と言った私に、アヅチが「なくなっても文句言うなよ~」と言った。

「言わないよ。美味しいからみんなで食べて」
「・・・女神降臨」
「でもみんな、シナモンロールを食べるスペースは空けといてね」
「・・・今日の神谷、俺に気があんじゃね?」
「ないない」「早くもアヅチの病気出ました~」「すでに重症どす」
「アヅチ、それは絶対あり得ねえから。安らかに眠れ」「もういいっ!」
「でもさ、今日の雅希はなんつーか、とっつきやすい雰囲気してるな」
「なんかさー、神谷があんな嬉しそうな顔をずーっとしてるところ、俺初めて見たかも」
「あ、それ分かるわ。あいつって基本無表情ってーか、極力顔に出さねえタイプじゃん?」
「それだけに今の雅希はイキイキしてて、めっちゃカワイイ!」
「いつもあんな風にしてたら、もっとモテるのにな」
「ダメダメ。まーは筋金入りのツンデレだから」
「しかも雅希さん自身にはその自覚ないし」
「だからそのツンとデレのギャップが激しいのと、本人無自覚が合わさってるから、男も女もみんな雅希を見ると“キューン”ってなっちゃうわけよ」
「“キューンってなっちゃう“の意味が分かるような、分からんような・・・」