「雅希。おまえまだ着替えてねえのか?もう出かける時間だろ?」
「着て行く服がないから忍の借りようと思ったけど拒否された」
「そっか。じゃあ父さんのシャツ着るか」「嫌」「即答かよ・・・」
「だったら雅希ちゃんが一番お気に入りのオイラ・・」「絶対嫌」
「“絶対”つけられてんのー」
「しかも新叔父さんが言い終わらないうちに即答した!」
「まったく。いい年したオジサンたちが、こぞって思春期真っ盛りの娘にそういうことを言わないの!特に新っ!」「は、はいっ!?なんでございましょうか奥様」
「もっと言いかたに気をつけなさい!あんたのその言いかたは、一歩間違えば変態よっ!」
「ついに変態までキタ・・」「俺は雅希の父親だぞ!?」
「さすが神谷検事」「千広おばさんつえぇ!あっという間に主導権握った!」
「神谷の女は男より強いんだぜ。忘れたか~?」とささやく新叔父さんに、忍は「知ってる」と、一兄ちゃんは「普段見慣れてるから忘れてた」と答えた。

「それよか出かける時間、迫ってんだけど!」
「じゃあ忍、服貸してよ」
「だからー、妹たちの服が窮屈ならおばさんたちの服借りればいいじゃんか」
「体型が合わないもん」
「俺らだって合ってないっしょ」
「でも忍とか一兄ちゃんの服はサイズ大きくて着るとダボダボだから、窮屈よりマシ」
「でもねえ、それだと返って胸が目立つこともあるのよ」
「え?そうなの?」と聞いた私に、千広おばさんは頷いて応えた。