酸素が取り込めず、陽太の胸を叩いた。
唇が離れると、陽太はそのまま固いフローリングの上に私を押し倒す。
ストッキングがはぎ取られ、下着を脱がされた。
準備の整っていない身体を熱いものが貫く。

「い、た…っ」

痛いのは繋がった部分だけじゃない。胸も刺されるように痛い。
普段の陽太はこんな乱暴なことをする人じゃないのに。
苦痛でしかない行為というものを初めて経験し、陽太の怒りの深さを感じた。
何度も身体を突き上げられているうちに、ハッと気づいた。

「陽太、待っ――」

陽太は続きを言わせまいと唇を塞ぐ。
きつく抱きしめられた身体は動かせず、抵抗できない。
私が言いたいことを彼はわかっている。わかっていてやめないのだ。
そのうちに陽太が動きを早め、荒い息を吐いて私の肩に倒れ込んだ。
息が弾み、心臓がバクバクと音を鳴らす。
震える声を弱々しく絞り出した。

「…陽太、避妊、してないよ…」
「…別にいいだろ。できても」

吐き捨てるような冷たい声。
聞き間違いかと思った。
私の知らない陽太がそこにいる。
零れる涙はきっと、生理的なものじゃない。

1年近くかけてふたりで築いてきたものが、ガラガラと崩れ落ちていく音がした。