さよならの続き

MRが出払っている昼休み明け、強烈な眠気に襲われた。
昨夜の疲れが出ているんだろう。
小銭を持って自動販売機のある休憩室まで行った。
ここのドアは常に開けっ放しだ。
いかがわしい行為が起こるのを避けるためなんだろうか。
普段は紅茶を飲むけど、今日は無糖コーヒーのボタンを押した。
カフェインが本当に眠気防止に一役買ってくれるのかはわからないけど、何か対策を講じないと頭が回らなくなってしまう。
慣れない苦みが舌に広がり、やっぱり紅茶のほうがよかったかと後悔していたら、靴音が近づいてきて航平が顔を覗かせた。

「お疲れ様。ちゃんと眠れたのか?」
「大丈夫です。課長、お礼を言おうと思ってたんです。昨夜システムエラーを調べてくださってたんですか?」
「エラーであることを証明できれば、こちらが責任を問われることもないからね。几帳面な君があんなミスをするとは思えなかったし」

私のこと、信じてくれたんだ…
エラーじゃなく、本当に私のミスだったかもしれないのに。

「ありがとうございました」
「今後もしこんなイレギュラーなことがあっても、ひとりで抱え込んで無茶はしないでくれ。今日も無理せずに早めに上がってもらっても大丈夫だから」
「はい」

航平は微笑んで踵を返していく。
心配ばかりかけてはいられない。
気合を入れようとコーヒーを一気に飲み干した。