さよならの続き



4月1日――

異動は陽太と課長、そしてお局様の3人。
外回りの陽太とは日中顔を合わせる機会があまりなかったけど、いなくなるとやっぱり胸に穴が空いたような気持ちになる。
そしてあんなに嫌だったお局様でさえも、いざいなくなるとどこか寂しい。

春は嫌いだ。
出会いよりも別れのイメージが強い季節。
きっとそれは彼のせいでもあるだろう。

始業の8時半、部長がやってきて声を張った。

「おはようございます。新しく5区に異動してきた3人を紹介します」

デスクワークをしていた社員が一斉に立ち上がって注目する。
別室に席を持つ部長の顔を見る機会は普段あまりないけど、課長が新人だから部長が紹介に出てきたんだろう。
部長の横に立っている男性を何気なく見て、息をのんだ。

スリムな長身。少し癖のある髪の毛は眉にかかる程度でおろされている。
奥二重の大きな目と薄く入った涙袋。細く通る鼻筋。締まった顎のライン。
…違う。そんなわけない。
そう思いたいのに、じわじわと湧いてくる胸の痛みに眩暈がする。