仕事帰り、会社の駐車場で陽太と待ち合わせをした。

「この前、ごめん」
「私もごめん」

開口一番頭を下げた陽太に、私も同じような返事を返した。
険悪な状況を引っ張っていても何の実りもない。
吉岡さんの言う通り、本当はきちんと話し合うことが必要なのはわかっているけど、なんとなくそれが怖い。
結局、私たちは向き合えないまま、またやり過ごしている。

何事もなかったように会話をしながら車を走らせ、コンビニで陽太は竜田揚げの弁当を、私はカップスープを買って陽太のマンションへ向かった。
部屋に着いて彼は弁当を電子レンジで温め、私はその間にケトルでお湯を沸かす。

「有梨、これだけで足りるの?」
「あんまりお腹が空かないの。お昼食べすぎたかも」
「うーん、でもスープだけじゃ身体によくないぞ?」

陽太は頬張ったご飯をもぐもぐと咀嚼しながら立ち上がり、狭いキッチンの棚を物色して食パンの袋を取り出した。

「パン食べれる?」
「んー、一枚は無理かな」
「じゃあ俺が半分食べるよ」

陽太は言うが早いか、トースターにパンを放り込んだ。