「最初に私が嘘をついたのが悪い。不安にさせてるのも私が悪い。だけど課長は何もしてないよ」
「西嶋さんをかばうの?」
「かばうも何もないってば。私が悪いって言ってるじゃない」

陽太は険しい顔をしてじっと私を見つめる。
こちらもただ彼を咎めるように見つめ返した。
少しして、陽太は視線をそらして前髪をくしゃっと握った。

「…ごめん。有梨の言う通りだ。俺、どうかしてる」

陽太は立ち上がって、そのままゆっくりと部屋を出て行く。

ため息とともに肩の力が抜けた。
ほつれた糸をうまく修復できないまま、先を紡ごうとしてまたほつれる。
時間が解決してくれることだってあると思っていたけど、そんなことはない。
苦しくなる一方だ。