〇陽翔の部屋


梨沙は布団カバーを外していた。

昨日とは別人だった。


顔つきもキリッとして初めてあんな陽くんを見た。


換気のため窓を開けてシーツを洗うために1階に降りた。


ご飯は……冷蔵庫を見るとあっ、いらないんだった。


何か少し寂しかった。


梨沙 (私の作るご飯がいいって言ってくれたのにな……)





次の日のお昼、梨沙は陽翔の部屋を覗いた。


まだ寝てるみたいだ。

部屋に入ると昨日着ていた服は全部脱ぎ散らかされていた。



梨沙 「陽くん、お腹空かない?もうお昼だけど一緒に食べない?」


陽翔 「…う〜ん…眠い」


梨沙 「昨日終わるの遅かったの?」


陽翔 「2時」


梨沙 「そんな時間までお仕事?」


陽翔 「……」


梨沙 「もしかして女の人と寝てきた?」


陽翔 「梨沙には関係ない」


梨沙 「そうだけど…ぐすっ…心配なの、陽くんの事が……」


いつの間にか梨沙は涙を流していた


陽翔は布団から起きた


上半身裸だった。


きっと服を脱ぎそのままベッドに入ったんだろう。


陽翔 「はぁ……」


大きなため息をつかれた。

眠そうな目をしながら梨沙の涙を拭う



陽翔 「何で泣くのさ」


梨沙 「わかんないけど、もう私は必要ないのかなって……」


陽翔 「ったく……逆だよ、ため息もつきたくなる」


梨沙 「え?」


陽翔 「僕にはさ梨沙が必要なのに、梨沙は好きな人がいるだろ?」


梨沙 「あっ……」


陽翔 「僕がどれだけ早く日本に帰って梨沙に会いたかったか、父の転勤の話は出ないし、大学で帰国しようと思ってた所にスカウトされて1年でも早く日本に帰ってきたかった」


梨沙 「だって10年だよ?」


陽翔 「それでも……6才の梨沙の笑顔は忘れられなかった。泣き虫だった僕をいつもなぐさめてくれていた。優しくて梨沙が大好きだった」


梨沙 「陽くん…」


梨沙は目の前にいる陽翔の頬にキスをした。


陽翔 「梨沙…今…」


梨沙 「今のはずっと私の事を思っていてくれてありがとうっていう気持ちだよ」



陽翔 「……わかった」


陽翔はシュンとした顔にまたなった。


梨沙はベッドに上がり陽翔にまたがって両手で顔を挟んだ。


梨沙 「陽くんのそんな哀しそうな顔は見たくない…笑ってよ」


陽翔 「僕、結構顔に出ちゃうから……それも直さなきゃ」


梨沙 「昨日の朝の冷たい態度の陽くんは嫌」


陽翔 (やっぱり、梨沙といたい……)




陽翔 「ごめん…冷たくしたつもりはないんだけど……まだしんどかったかな、シャワーしてくる」


陽翔は梨沙を横に降ろしてベッドから出て部屋から出て行った。


梨沙 (私、何で陽くんに自分からキスしちゃったんだろ……)


梨沙は真っ赤になっていた。