「はい。お待たせ。」
エミから冷たく冷えた缶を受け取る。
「ありがと。あたしも、悪いほうばっかり考えているわけじゃないんだよ?ちゃんといい方にいった場合も考えた。」
話している途中にも、ユウの顔を思い出し、切なくなる。
エミの顔を見ず、遠くを見つめたまま続けた。
「もしね、ユウがあたしの告白にOKを出してくれたとする。付き合えたときね。ここでもうちのバンドは3人ってことが問題になってくる。」
「あー。そうだね。付き合えたのなら尚更、シノブは気を使うよね。」
あたしが言いたかったことをエミが続けた。
「ましてや、付き合って別れた時なんか、バンドなんて出来たもんじゃないよ。」
付き合えた時のほうが、バンドへのリスクは高くなる。
そう考えた。
「あたしは、ユウが好き。でも、ユウのドラムでベースが弾きたいんだ。あたしがユウに告白するってだけで、このバンドはいい方には向かわない。」
結果がどうであれ、告白することは、バンドの崩壊を意味する。


