ROCKな人魚姫《前編》



ユウだって、ここが地元じゃないから場所がわからないはず。


遅刻した罰で迎えに行かないのはわかるけど、せめて電話にくらい出ればいいのに。


シノブの携帯が鳴りやむと今度はあたしの携帯が鳴り始めた。


「あたしんとこにかかってきた。」


シノブをちらっと見て、どうするのか目で訴えた。



「電話出るんだったら、道案内の看板見て来いって伝えとけよ。」


遠まわしに、電話に出なくてもいいと言っているように聞こえたが、あたしは、部屋の外に出て携帯の通話ボタンを押した。


「もしもし、ユウ?」


《あー悪ぃ。場所教えてくれない?》


「シノブがね、道案内の看板見て来いって。あたしも初めて来た場所だから、どう説明していいかわからなくて・・・」


ユウの力になれないことが本当に悔しかった。

こんなことになるなら、道を覚えながら来ればよかったと後悔した。


《・・・わかった。結構距離あんの?》


「多分。歩いたら3,40分はかかるかも・・・。」


《了解。じゃあ、シノブにも、あとそのくらいで行くって言っといて。》


「わかった。待ってるね。」


そう言うと電話を切った。


ユウと電話したのは、これが初めてだ。

切ったあとも、あたしの鼓動は早いままだった。