「……」



明里の企むことが面白くて、泳がせたくて…それで一緒に住んでいる。

けど、なんでかな。

泳がされているのは、むしろ俺の方な気がする。



「春風さんにも平気で突っ込んでいくし、私、すごくヒヤヒヤしたんだよ?」

「突っ込んでないよ。話をしただけ」

「同じことだよ!」



ハアと、明里はため息をつく。

そう言えば、俺たちってケンカしてるんだった。

ケンカの上に、更にケンカ。



「(ずっと一緒にいると、やっぱり上手くいかないのかな)」



そう思った時。

明里が、俺の人差し指をキュッと握る。

人差し指だけ。控えめに。



「もっと自分を大切にして…、無茶しないで」

「……え?」