弟が叫んだ。



『俺は…、俺は兄貴とは、違う!!』

『――』



ザッ



気づけば、俺の足は弟を助けるために進んでいた。

なぜかと言われたら、本能の方が先に動いた…としか分からない。



だけど、もしかしたら…



――俺は兄貴とは違う



その言葉を、信じてみたかったのかもしれない。


それに、



――よ、よろしくね…、夜野くん…!



俺の事が怖いくせに、震えながら必死に挨拶をした日向。

そんな優しい子の悲しむ顔を、俺が見たくなかっただけなのかもしれない。



『(あーあ、今まで平和だったのになぁ)』



だけど、俺が行かなきゃ弟はボコボコにされる。

仲良くしている弟が怪我をしたって知ったら…日向は絶対泣くでしょ。

なら、こうするしかない。



『ねぇ、何してるの?』



『ひ!夜野、蒼羽…!』
『構わねぇよ一人だ!』



向かって来る不良たちに、思わずため息が出る。



『……はぁ』




バイバイ、俺の平和――