「え……と、」

「……」



その男の人は、何も喋らなかった。

顔は…無表情。だけど「怒ってる」感じにも見える。



「あの、」



どうされました?

と。私が口を開く前に。

その人は言った。



「お前はどこの族だ?」

「ぞく……?」

「さっさと白状しろ」



ひぇ……っ。

さっきの友達に引き続き、この男の人…。

恐怖のコンボがすごすぎる…!



「族って…暴走族の事…?わ、私は何の暴走族にも、入ってません…っ」

「なら、なんでさっき、あの子に近づこうとした?」



「あの子って…美月さんですか?」

「――」



美月



という名前を出した瞬間。

男の人は私の手をひねり上げて、身動きをとれなくする。



「痛い痛い!ちょっと病み上がりの体にそれはキツイです!」