「うん?」

「明里の家族に会いたいな」



ん?



「家族?なんで?」



本当に分からなくて尋ねると、まだ顔が青い蒼羽は「いや…」と虚無を見ていた。



「なんでって、そりゃぁ…。やっぱ内緒で2セットずつ用意されてちゃ、それを見た時のご両親の心境がね」



「俺の無事も守りたいし」と最後に付け加えた蒼羽の心境を察して頷く。



「確かに…。じゃあ今度行く?電車移動だけど」

「うん。ありがとう」



力なく笑った彼。

きちんと外堀から埋めていってる所に、彼の「隙のなさ」が現れている。



「蒼羽ってさ、本当に隙がないよね」

「好きならあるけどね」

「……」



そしてサラッと、大胆だ。



「ねえ蒼羽。私も蒼羽の実家に行きたいな」