「日向さんの部屋にはぬいぐるみがたくさんあったね」

「イケオジぬいぐるみですか?最近ハマってるんです」

「あのバーコード頭に腹巻の人形が?」



怪訝(けげん)な顔をした夜野くんが珍しくて、ついつい見つめる。

すると彼はハッとした後、重たい私の荷物をひょいと持った。


けど…



「(あれ?今…)」



荷物を持った時に、一瞬だけ…。

「っ」と夜野くんが顔をしかめた。


不思議に思うも、私の部屋らしき中に入ると、すぐに夜野くんは「はい」と。ある物を渡してくる。



「これ、返すよ」

「あ、ハンカチ…」



受け取った白いハンカチ。

だけど…一点だけ赤いシミがついていた。



「(なにこの赤、明るい赤。

まるで血みたいな…)」



血――その言葉で、合点がいった。