「(ホッ…)」



ニッと笑う春風さんを見て、安心したように優利が笑みを浮かべる。

「よろしくお願いします」と頭を下げて、「月光」の仲間たちと廃墟を離れた。



「蒼羽…」



一方の私は、さっきからしきりに廃墟の中を見てるけど…人が多すぎて蒼羽を見つける事が出来ない。

蒼羽、蒼羽…あなたは無事なの?

どこにいるの?



「蒼羽…っ」



ポンッ



「心配しなくても大丈夫だ」

「春風さん…、」



オロオロする私に、春風さんは落ち着くよう促してくれる。



「夜野は無事だ。もうすぐ会える」

「はい、あの…じゃあ、」

「?」



言いにくそうに俯く私に、春風さんは首を傾げる。

だけど、私の言葉を聞いた瞬間…

春風さんの表情が、ふわっと、淡く崩れた。



「早く蒼羽に会いたいので…窓から中へ入ってもいいですか?」