「俺”たち”?」

「既に中に入っている」



春風さんが廃墟の中に目をやる。

廃虚の中では「月光」と「銀狼」が、激しく戦っていた。



「あんた…暴走族なのか…?」

「負けナシのな」

「そうか…良かった…」



「負けなし」という言葉で、春風さん率いる暴走族が強い事を知った優利。

安心したのか「はぁ」と息を吐いた。



「そろそろ…警察が来ると思うから、俺はそっちに行くな。この廃墟に誘導する」

「う、うん。分かった。ありがとう」

「君一人だと危ない。念のため護衛をつける。廃墟の外にも、敵はいるだろうしな」

「じゃあ…お言葉に甘えて…」



頷く春風さんの頼もしさに、同じ学年ではなく先輩だと悟った優利。

「明里のことを頼んでいいですか?」と急にかしこまった。何とも優利らしい。



「もちろん。俺が責任もって、この子と夜野を守る」