「思い出すなぁ。二年前の事」





突然に聞こえた声に驚いて、

私と優利は、急いで振り返った。

そして予期せぬ登場人物に思わず震える。

だって、その人は…



「春風さん…!」



春風さんは音もなく、そこに立っていた。

廃墟を見ていた瞳を、ツイと私に向ける。

そして「もう大丈夫」と言わんばかりに…

口角を僅かに上げてみせた。



「久しぶり。美月から電話を貰ったんだ」



――生吹くん!明里ちゃんと夜野くんが危ないの!



「間に合ったようで良かった」

「(春風さん、美月さん…っ)」



最強総長の春風さんが来てくれた。

美月さんが電話をして伝えてくれた。

それはまるで…奇跡の連続。



「(美月さん、お守り…すごい効果でした…っ)」



ほっとして涙を流す私の隣で、優利が「この人は?」と尋ねる。

何て言おうか迷っていたら、春風さんが「いい」と言って私に手を上げた。



「安心しろ、俺たちは味方だ」