「ッ!」



私の言葉に、蒼羽の肩がピクと跳ねた。

かと思えば、だんだんと肩は下がっていく。



「明里、頼むから」

「いや…!」



「言う事を聞いて。ね?」

「嫌!!」



逃がしたいのに逃げてくれない私に、蒼羽の顔が歪んだ。

そして次に始めたのは…私と優利を逃がすための時間稼ぎ。

連中を見て「ちょっといい?」と手を上げる。



「俺をやる前にさ――最後に話していい?この女の子と」



蒼羽の申し出に、連中は一瞬止まった。

だけど自分たちの勝ちが確定していると踏んでいるのか…余裕の表情で「最後くらいはな」と時間を30秒と定めて、蒼羽に近づくのをやめた。

その30秒に…

蒼羽は、自分の気持ちの全てを言葉に乗せる。



「ねぇ明里」