スキがない総長の大胆な溺愛

「な、にを…、?」

「優利との事、お腹の事…!」



蒼羽に近づけるだけ近づいて、手を伸ばす。

割れたガラスは窓に残ったままで、少しでも腕の位置をズラすと、そのガラスに刺さりそうだった。


だけど、私は手を伸ばす。


そして蒼羽の背中にちょんと手が触れた。

すると…息をするのに精一杯に見えた蒼羽は、こっちを見ないまま…

きゅっと。私の手を握った。



「わざわざ言う事じゃないかなって…そう、思った」



ははと、いつもの笑顔で話すものだから…。

思わず「バカじゃないの!」って叫んでしまう。



「こんな大事な事を言わないなんて…バカ!蒼羽が優利を守ってくれたって知ったら、私はわざわざ復讐なんて考えなかったのに!!!」



そう言った時、伸ばしていない方の手で自分の口を押える。


そう。

私は口を滑らせた。

蒼羽の前で「復讐」と言ってしまった。